2. 空間構造システムの開発
2-1. 張力安定トラス構造の開発
大空間構造では、自重の少ない構造物を開発することが一つの大きな目標となる。
本研究では、部材数の足りない不安定な架構に最低限の部材を加えて安定化する
という発想の一つの具体例として、張力安定トラス構造の開発を行なった。
張力安定トラスは、一つの自己応力モードをもつ単位構造からなる。
単位構造は自己応力導入によって極細い引張り部材に圧縮を負担させることができ、
従来のトラス構造に比べ自重を大幅に軽減することができる。
また、各単位構造内に一つの不連続な圧縮材を持ち、
その外観はいわゆるテンセグリティー構造と同様の印象を与える。
しかし、いわゆるテンセグリティー構造が、”不安定構造”である
のに対し、張力安定トラス構造は”安定かつ不静定構造”であり、
高い不静定次数、すなわち十分な安全性を兼ね備えた構造である。